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【ニュージーランド 特別支援学校】コロナ休校からの学校再開、1週間が過ぎて

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コロナ(COVID-19)の影響を受けニュージーランドでは学校を2020年3/24(火)から全国で一斉に休校が始まりました。

 

結果的に8週間続いた休校措置がついに先週5/18(月)に全生徒に向けて明けたので、ニュージーランド特別支援学校再開にあたっての様子をまとめてみます。

 

 

ニュージーランドの休校開始から学校再開までの流れ(全学校)

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コロナ(COVID-19)の影響を受けニュージーランドでは学校を2020年3/24(火)から全国で一斉に休校にし、特別支援学校も例外なく門を閉めた。(決定が発表されたのは前日の3/23)

 

その時点では学校がいつ再開できるのかの見通しは立っておらず、2日後の3/26(木)から4週間に渡る警戒レベル最大の4 ロックダウンが始まった。

 

「学校は警戒レベル2にならないと再開できない。」それだけがわかっていた。

 

ロックダウンの効果は見られたが政府の判断により、ロックダウンは当初の予定より4日延長され4/28(火)に一段階レベルを下げてレベル3になった。

 

レベル3は少なくとも2週間続けると発表があったので学校の再開は早くてももう2週間先に。

 

そしてレベル3になってから2週間が経った5/11(月)、5/14(木)からレベル2に下げる事、学校の再開はレベル2になってから最初の月曜日つまり5/18ということが正式に決まり、晴れて5/18学校の門が8週間ぶりに全ての生徒に開かれたのです。

 

レベル3時の特別措置

休校から5週間経った4/28にロックダウンが解除されレベル3になったけれど、実はその時に学校を一部再開できる状態になりました。

 

ロックダウン期間中はエッセンシャルワーカーと呼ばれる人々の生活を守るために出社して働かなければならないと国から認められた会社や社員のみが自宅外で働ける状態でした。

 

エッセンシャルワーカーにあたるのは医療従事者やスーパーマーケットの従業員のほか、その人たちを輸送するために電車やバスなどの公共交通機関関係者や物流を止めないように物流関係・食品を作る会社も動いていました。

 

しかしそれらはごく一部の人たちであり、多くの人達は休業や自宅からのリモートワークに切り替える事になり、ほとんどの人が自宅にいる生活でした。

 

それがレベル3に緩和されレベル4に比べ多くの人が外に仕事に行くようになりました。

 

つまり、両親共に出勤するケースが増えたのです。

 

ニュージーランドでは14歳以未満の子どもは自宅で1人で留守番をする事が法律で認められていない(それ以上の年齢の兄弟がいれば下の子をみるのはOK)ので、自宅に保護者が誰もいないとなるとその子どもたちは行き場がなくなる訳です。

 

そこで、条件付きで学校を再開させる動きになりました。

 

Year1(5歳)〜Year10(14歳)までの児童で両親(または同居している祖父母等の大人)が働きに出て、世話をする人がいない家庭は学校と調整し子どもたちは学校へ行けるように。

 

しかしレベル3ではまだまだ多くの人が自宅待機もしくは自宅勤務だったため、学校を利用する子どもの数はかなり少なかったようです。

 

実際に学校を特別に開けると言っても、普段通りの授業を少数の児童に向けて先生が行う訳ではなく、学校が生徒に提供しているオンラインの授業を学校で受けられるようにし「滞在する場所を確保する」という意味合いの方が大きかったようで、教室内では距離を取り生徒各自が各々パソコンを使って課題に取り組む形だったようです。

 

私が働いている特別支援学校の休校時の状況

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オンライン授業?

日本でも休校に伴ってオンライン授業が話題となっていますが、ニュージーランドの普通校では休校に先駆けて各家庭にパソコンなどのデバイスの家庭内の状況などが確認され、教師陣の奮闘もありオンラインの授業が普段通りの時間割とまではいかずとも毎日行われていました。

 

一方特別支援学校では、パソコンの前に座って生徒1人ひとりが着席して課題に取り組んだり、オンライン上で先生やクラスメイトとやり取りをするのは少し想像しがたいのではないでしょうか。

 

私はサポートスタッフという立場なのでオンライン授業に携わることはありませんでしたが、聞くところによると先生方が普段から保護者とのやりとりに使っているSEESAWというアプリを使って情報を共有することが多かったようです。

 

具体的には、自宅で取り組めそうなアクティビティ(工作やクッキング、センサリー遊びなど)のアイデアを紹介したり、そういうものを集めたアプリやウェブサイトを紹介して自宅で保護者の方が取り組めるようにコミュニケーションを取っていたようです。

 

担任の先生には週に一度は個別に保護者に連絡するように、それから私たちサポートワーカーにも週に一度は連絡を取るように校長先生から申しつけがありました。

 

保護者の方で自宅で何か子どもと取り組んだ時にはSEESAWに投稿してもらい、活動をシェアしてもらっていたようです。

 

普段でも学校から来る週1回のお知らせメールには、学校が休みになっていても繋がりをしっかりと持っておきましょうというメッセージが頻繁に入っていました。

 

生徒と教師、教師とサポートワーカー、またはサポートワーカー同士連絡を取り合ってね、と。そんなメッセージからは「もちろん生徒への学習機会の提供は大切だけれどそれよりもこの未だかつて誰も経験したことのない状況で孤立することなく一緒に乗り越えましょう」という感じを強く受けました。

 

それからオンラインでのやり取り以外にもう一つ学校側から生徒に提供されたものがありました。

 

それは小包。生徒1人ひとりに送付され、中には様々なクラフトアイテムやセンサリー遊びに使えるアイテムが入っていたようです。子どもたちはそれを使って家庭学習を保護者の方と一緒に行っていたようでした。

 

残念ながらサポートワーカーの立場では常時SEESAWを見れる訳ではないので詳細はまだ聞けていませんが、多くの子どもたちがそれらを使って活動している様子が保護者の方から先生にフィードバックされていたようです。

 

学校のフェイスブックページは誰でも見られるようになっているのですが、そこでも色んな写真など子どもたちの様子が投稿されていたので基本的には私はそこから情報を得ていました。

 

レベル3の特別措置の対応

4週間のロックダウンが終わりレベル3になった時、普通学校では一部限定されたケースに限って登校が認められたと先ほどお話しましたが、私が働いている特別支援学校ではなかなかオープンしませんでした。

 

私はかなり不思議に思っていたのです。学校の再開を希望している保護者はいないのか?と。

 

日本では休校した途端、放課後等デイサービスが夏休みなどの長期休み同様に朝から夕方までサービスを提供しているというのをTwitter等でみていたのですが、ニュージーランドではそういった障害児向けの通所サービスはエッセンシャルではないということで閉まっていました。

 

普段の夏休み等であればこちらではホリデープログラムといって学校ではなく福祉サービス事業所が放課後等デイサービスのように子どもたちを半日ほど預かり一緒に遊んだりお出かけをしたりする余暇支援のサービスがあるのですが、それも今回はホリデーではないですし、開業できる職種が限られていたのでホリデープログラムの開催はありませんでした。

 

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つまり四六時中子どもたちが自宅にいたわけです。

 

身体介助の必要な子の親御さんも、発達障害などでコロナによる休校の事態がわからず不穏になる子の親御さんも大変なんじゃないだろうか。ご家族もだし、子どもたち自身も大丈夫なのかな?と心配していました。

 

しかし結果的に学校がオープンしたのはレベル3の最後の2日で、完全開校までの計4日間だけでした。

 

しかもさらに驚いたのが、その時に本当にヘルプが必要と判断された家庭がたった2家族だったのです。

 

マネージメントの先生と話す機会があったので聞いてみると、「もちろん大変だと思うけどどの家庭も踏ん張ってくれている。電話で親御さんと話したけれどどこもなんとかなりそうだといっていた。○○のお父さんも、□□の家も大丈夫だって。」と。(○○、□□は対応が難しい子)

 

そういう訳で完全開校になる4日前から学校がほんの一部4人の生徒で開始しました。

 

学校再開1週目の様子

生徒数

ついに学校が全生徒に向けて再開された5/18〜の1週目は生徒の戻りは約40%ほど。

 

オークランドでは学校でクラスターが起こった事もあってかとても慎重な出だしとなりました。

 

生徒本人が疾患や障害などにより免疫が弱いなどの場合と、同居の家族に高齢者や免疫疾患やぜんそくの人がいるためにまだ登校していない場合などがあるようです。

 

私が所属する学校には脳性麻痺の子が多く、生徒自身の身体があまり強くなかったりまた食事介助やオムツ交換で確実にフィジカルコンタクトがあるので感染のリスクが高いという判断なのか多くの子がまだ欠席しています。

 

クラスによっては1人しか戻ってきていないところもあり、そういうクラスは別のクラスと合同で活動するなどしていました。

 

衛生面

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コロナの前と変わった事

  • 以前よりもさらに手洗い消毒が言われるようになった
  • オムツ交換時の手袋などは今まで通りだけれど、手袋の箱が壁に設置されてベタベタ触らなくていいように配慮
  • 今まであまり言われていなかったよく触るところ(テーブルやドアノブなど)の消毒をするように

 

学校ではやはりソーシャルディスタンスは難しいですよね。子どもたちとは触れ合う機会も多いですし、どうしても距離は近くなります。

 

日本では学校でもマスクの着用が義務付け?られているようですが、私の勤める学校では「マスクはしないように」という通知を受けました。

 

理由は

  • マスクは適切に取り扱わなければ、逆に感染を拡大させる恐れがある。
  • ニュージーランド保健省及び教育省から学校は安全なためマスク着用の義務はないと通達
  • 生徒の多くがマスクを付けている大人とネガティブな経験を持つので、不安にさせる(医療従事者との関わりが普通の子どもに比べて多かったり、手術の経験を思い出させる)
  • 教育者としての役割の多くは生徒とコミュニケーションを取ることであり、マスクの着用はそれを大きく妨げるため

 

以上のようなことからマスクはなしで過ごしています。その分手洗いを徹底し子どもたちにも習慣化させる機会に、とのことです。

 

実際、初日はマスクなしに不安もありましたが子どもたちもそれなりになんとなく理解しているので、普段よりも手洗いに気持ちが向きやすかったり手洗いはできなくてもサニタイザーは受け入れていたりと適応が見られることが多いです。

 

子どもたちに触った後はしっかり手を洗う、食事介助の前にはしっかり手を洗い子どもに感染させないなどしていればかなり防げるのではないかな?と思っています。

 

それからニュージーランドの感染者の状況がかなり落ち着いて来ていることもあり、「周りの人が感染しているかも」と恐れる事もなくなってきているのもマスクなしでも安心できているのかもしれません。

 

⇩学校から全スタッフに配られたサニタイザーと視覚カード

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スタッフ

 学校再開初週の生徒の戻りは約40%だったとお伝えしましたが、スタッフはどうかというとほぼ100%復帰しています。

 

支援学校は普段から割と教室内に大人が多い状態ではあるのですが、子どもたちが少ないのにスタッフは多い、、、そんなに人いらないですよね。

 

私が所属しているクラスは実質2クラスに分かれていますが1クラス扱いで生徒17人、担任の先生2人、サポートスタッフが7人の大所帯。しかし初週に戻って来た生徒はたったの6人。そこに9人もの大人はいらない、と言うことで担任の先生は1日ごとに交代し片方の先生は事務仕事をしたりオンラインの対応をしていたよう。

 

そして7人のサポートスタッフのうち3人は校内で普段後回しにされている場所の掃除や片づけ、教材の仕分けなど「こんな時じゃないとできない雑用」に回されました。

 

私も別の場所に借り出されて教材の仕分けや補強、教育資材の作成などを行いました。普段は子どもたちの対応に追われる毎日ですが、そういう仕事もたまには悪くないですよね。しかも今まであった事のなかった同僚と一緒に作業をしながら新しい関係を作る機会になり楽しむ事ができました。

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⇧教材作りのお手伝い

 

 

1週目はこんな感じで人数も少なく、所属の場所がかわったり業務がいつもと違うなどイレギュラーなスタートとなりましたが子どもたちもスタッフも学校の再開を喜んでいます。

今は2週目が始まっていますがまた2週目の様子も追記したいと思います。