ニュージーランドの特別支援学校でTeacher Aidというポジションで日々子どもたちと過ごしています、mayumiです。
Teacher Aidは主に担任の先生の指示の下、授業/活動の補助的役割を担っているのですが、先生によって授業の内容や進め方は全然違います。
音楽の要素が強かったり工作の時間が多かったりと先生が得意な事が見えやすいことに加えて、引き出しの多さはクラス運営に顕著に現れています。
使うアイテムも先生それぞれなんですが、今日は多くの先生が使っているフードカラーリングとその使用アイデアを少しご紹介します。
フードカラーリングとは
フードカラーリングは食紅・着色料・食用色素などと呼ばれる事が、多い食品に色を付けるためのものです。
粉末・ペースト・液体などの種類がありますが、NZの支援現場でよく使うポピュラーなものは液体のもの。
海外のスイーツってすごい色をしているのもが多いというイメージはありませんか?
スポンジケーキがナチュラルなクリーム色ではなくピンクや赤や緑さらには虹色だったり。
そういう色を付ける時に使うのがフードカラーリングです。
ニュージーランドではスーパーマーケットで簡単に手に入るので、気軽さもいいのかもしれません。
日本では普通のスーパーでも買えるんでしょうか?
特別支援教育に使用しやすいワケとデメリット
日本では着色料=体に悪い という事をく耳にしますし、よくわからないながらも私もそんな風に感じていて、海外に住んでいてもどぎつい色のスイーツなんかは未だにあまり食欲がそそりません(笑)
それなのにオススメする理由は、特別支援教育においては利点が多いと感じているからです。
メリット
①食べても大丈夫・安全性
これが最大のメリット。
特別支援を必要とする子どもたちの中には異食する子がいます。
ある特定の食品ではないものを食べてしまう子もいれば、なんでもかんでも口に入れてしまう子もいるでしょう。
そういう子に対しては食べてもいいものと食べてはいけないものを教える・行動を抑制する・違うものに興味を持たせる など、支援の必要性はあるかもしれませんが、瞬時にするのはハードルが高く不可能に近いかもしれません。
せっかくの活動中も食べてはいけないものを使っていると支援者もずっと気を張っていないといけないですし、「注意」や「制止」の声掛けがどうしても増えてしまいます。
そう、スタッフ側の行動・言動を抑制できる場面が増えるんですよね。
絵の具やそのほかのカラー材を使っているとどうしても「あ~食べちゃダメ」「汚いよ~」「舐めないで~」とスタッフの悲鳴に近い声が飛び交いませんか?
その声かけと一緒に子どもの手を取って絵の具から離したり、絵具そのものを離したりという行動もやってしまいませんか?
発達障害の支援現場ではネガティブな表現ではなくポジティブ・肯定的な声掛けが推奨されていますし私も日々気を付けていますが、発達障害に限らず障害を持つ子供の多くはどうしても健常児に比べると失敗経験が増えてしまう傾向にあります。
それは実は失敗したり悪い事をしていない場面でも大人が先回りして失敗やこれから起こることを予測して止めてしまうことで容易に起こってしまうと思うんです。
それが先に述べたような声掛けと制止です。
その声掛けが減るだけで子どもたちはのびのび活動を楽しむ事ができるのではないでしょうか?
着色料を多量に摂取すると良くないという記事をいくつか見ましたが、それでもフードカラーリングは元から口に入れても大丈夫なように作られているものなのでゴクゴク飲んでしまったりしない様にさえ気をつければ、手についたものを舐めてしまっても慌てて吐き出させたり洗ったりすることなく笑って活動を続けられる場面が増えます。
②目に楽しい変化が少量で起きる
お菓子作りにフードカラーリングを使ったことがある方ならご存知だと思うのですが、フードカラーリング とっても少量でも結構綺麗に色が付きます。
後で使い方も紹介しますが、水に混ぜたり、粉に混ぜたりするのもほんの数滴で見事に色が変わります。
子どもたちの目の前で透明な水も真っ白な粉も瞬時にカラフルになるのを見せる事で子どもたちの興味を惹きつける事ができるので、その後の支援を展開しやすい場面をたくさん見てきました。(もちろん絵の具でもこれはできますが)
デメリット
実際に授業で使っていて1つだけ水性絵の具を使うよりも明らかなデメリットがあります。
それは落ちにくいという事。
水性絵の具だったら肌についても水ですすげば割と簡単に落ちますし、服についても水で洗えば割と綺麗に落ちますよね。
つまり家に帰ることにはほぼ綺麗な状態で帰る事が出来ます。
しかし、フードカラーリングは石鹸で手を洗ってもなかなか落ちないし、洋服もしかり。
工作用にエプロンをしても顔についたり服で拭いたりハプニングは続出!
そこで気になるのが保護者からのクレームかもしれません。もしかするとこれが原因で使えない/使いたくない先生も出てくるかもしれませんが、NZではほぼ問題なしなんです。
それは、子どもが汚れた服で帰ってくることをよしとする保護者が多いからです。
手や服が汚れているという事は学校で何かしらの活動に本人が参加したという証拠と捉えてくれる保護者が本当に多い。
「服は洗えばいいから気にしないで」と言ってくれるお母さんが多い!「うちの子を楽しまさせてくれてありがとう」という感じです。
私の感覚では「こんな格好で帰宅させられない」と必死に綺麗にしていたのですが、他の先生たちは口を揃えて「そんな綺麗にしなくて大丈夫だよ~」って。
特別支援の現場だけではなく他の先生たちや保護者の方が育ってきた環境でもあるのかな?と思っていますが。
何をするのにも割と大胆です。(まだNZスタイルに慣れない私は毎回ひやひやしていますが)
使い方のアイデア
アイデアは無限大だと思いますが実際にどんな風にフードカラーリングを使っているか、少しだけご紹介。
そのままの使い方、クッキングに
シンプルに王道の使い方です。
小学部10歳~15歳の子のクラスに居た時によくやっていたカップケーキ作り。
スーパーで売っている簡単カップケーキのキットを使ってのカップケーキ作りの時に、カップケーキ自体はそのまま普通に焼いて、最後のアイシングづくりの時にベースのアイシングに子どもそれぞれが好きな色を選んで着色。
「自分の」カップケーキが分かるようにしたり色を混ぜて新しい色を作ったりしていました。
作るところから楽しむ、口に入れても大丈夫な粘土づくり
カップケーキ作りは割と機能の高い子どもたちとやっていたのですが、この粘土づくりは色々な障害の子が楽しんでできます。
粘土は子どもが好きなおもちゃの1つだと思いますが、それを作る工程から。
全工程感覚遊びです。
必要なものは
- 小麦粉
- 油
- 水
- 塩
- それからフードカラーリング
作り方はとっても分かりやすくまとめてらっしゃるページを見つけたのでこちらから⇩
小麦粉粘土の作り方|幼児教材・知育プリント|ちびむすドリル【幼児の学習素材館】
粉のサラサラ、水を混ぜてねちょねちょに、さらに油を混ぜてネタネタに。様々な感触を楽しむことができます。
粘土ができたら色を混ぜて、色の変化を目で楽しむ。
色んな色の粘土ができたらそこからは創作遊び。存分に楽しんでください。
簡単に揃う材料でできるし、高いものでもないので色が混ざってしまって汚い色になってしまったら捨ててまた作る。
気軽さがオススメです。
少し色を付けたい時に
これはいつ・どんなときに、という訳ではないのですが、あらゆる場面で視覚を刺激して子どもたちの興味を向けるのに使ってみてください。
水遊びの場面では、カップごとに違うフードカラーリングを数滴垂らして色のついた水を作ってみたり、
シェービングフォームと混ぜて色のクリームを作ってふわふわの感覚あそびをしたり。
お米ののりに数滴入れてカラフルなベタベタあそび(これはスタッフ側がかなり嫌かもしれませんが)もできます。
カラフルだったり子どもたちの好きな色の物を使うとエンゲージメントがあがるので、個別支援でもグループセッションでも子どもたちがセッションに参加するきっかけを作りやすくなります。
もちろん子どもたちによってはほんの短い時間しか興味が続かない子もいますが、まずは興味を持たせるのが難しいですもんね。
「本人の好きなもの」は日々先生方が必死に探していることの1つだと思いますし、私もその1人ですが、やっぱり無色よりも色のついたものの方が反応が良い気がしませんか?
もし良かったら試してみてくださいね。ではまた、See you!
同じくNZの支援学校で取り入れられているReading Storyについてはこちら⇩