KIWI LIFE of MOANA

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エンジェルベイビーになった我が子。最初で最後の親バカ日記

エンジェルベイビーという言葉をご存知ですか?

 

日本語でググってもなかなか意味にたどり着けなかったのでもしかしたら日本ではあまり馴染みのない言葉なのかもしれません。

 

エンジェルベイビー(Angel Baby)は出産以前や出産後に様々さまざまな理由によって亡くなってしまった赤ちゃんのことを指します。

 

 

先週、私はエンジェルベイビーのお母さんになりました。

 

 

私の流産の経験は別の記事にするのでここでは詳細は書きませんが、流産などの悲しい経験談を読みたくない方はこの先には進まないでください。

 

 

 

この記事を書こうと決めたワケ

まず初めに私が今こうして自分の経験をまとめたいと思ったワケですが、夜中に緊急で訪れた病院から帰って来たのは5日前の早朝。

 

そこから1週間のお休みを取って現在自宅療養をしているのですが、私にとって初めての妊娠そして初めての流産が自分が思っていた以上に肉体的にも精神的にもとても大きく生活に影響を与えている事実を残しておきたいと思いました。

 

肉体的な痛みは日々薄れて行くでしょうし、精神的な痛みも日々の生活で少しずつ乗り越えて行くのだと思っていますが、この世に生まれてくることができなかった我が子の最期を少しずつ忘れて行くのがとても怖いのです。

 

私自身が覚えておきたいということ、それから誰かに聞いて欲しいという気持ちが混在しています。

 

誰に見られることもなく去ってしまった我が子の存在を誰かに知ってほしい、最初で最後の親バカ発言を誰かに聞いて欲しい、でも流産したばかりの人の話を直接聞かされるのは聞く方もきっとどうしていいかわからないだろうなとも思うので、もしこの記事を最後まで読んでくださる方がいらっしゃれば、ここに1人の命があったこと・とってもお母さんん思いな賢い赤ちゃんだったことを知っていただければそれで十分です。

 

今現在感じている心身の痛みはきっと癒えて行くのでしょう。子どもを亡くしてしまった事実は忘れないとしても、今のこのどこに向ければいいかわからない悲しみはきっと生活の中に溶けて行ってしまうんじゃないか、そしてそれはこの子を忘れることになるのかなと思うと辛く悲しく、この先自己嫌悪にも繋がる気がして、最期に我が子がくれたものを残したいとページを開きました。

 

 

流産という形で生まれてきた我が子

今回私の流産は11週と6日で起こりました。

 

妊娠12週までの流産は早期流産と呼ばれ、ほとんどの場合が赤ちゃんの染色体異常と言われていて、育つことができなかった命だと言われています。

 

一般的に12週を超えると染色体異常による流産は確率がすごく下がると言われていて、12週の壁なんていう言い方も目にしました。

 

あと1日で12週だったのに。

 

12週を超えたからといって流産しない訳ではないのにそんなことを考えずにはいられませんでした。

 

でももし12週以降でこの流産が起こっていたら、きっと私はもっと自分を責める事になったかもしれないんですよね。

 

12週未満だから流産の可能性は高い時期だし、染色体異常で育つことができない命だったと私に納得させるためにこの日を選んで出てきてくれたのかな。

 

多くの初期流産の経験者は気づかない間に子どもが流れてしまっていたり、トイレで流れてしまったりして母親の目に留まらないことも多いそうです。

 

実際に私の1回目の多量出血はトイレで起こり、便器が真っ赤に染まりました。しかし出血があったことは確認できたけれどどんなものが出てきたのかはトイレの底でわからなかったのです。

 

初めての多量出血に多少のパニックはあったものの冷静さもあり、「きっとダメだったな。助産師さんに電話しなきゃ。これからどうしたらいいんだろう。」となんだかスッと物分かりがよすぎる頭になって諦めというかなんか作業的というかエモーショナルではなくどこか作業的な感覚になりました。しかし便器の中に我が子が流れてしまったかもしれないということまで頭は回らずジャーっといつも通りトイレの水を流してしまいました。

 

後になって「赤ちゃん流してしまった!」と思った時にはもちろん時すでに遅し。かと思ったのですが、なんと1回目ではどうやら赤ちゃんは出てきていなかったらしく、2回目の多量出血で我が子に会えたのです。

 

とっても親孝行だった小さな我が子

救急外来から帰ってきてから、たくさんの人の経験談ブログを読みました。

 

妊娠を報告していた人たちに残念なお知らせもしました。

 

担当の助産師さんとも話をしました。

 

そんな中で、大きくなれない命ながら、我が子は私に会いに来てくれたしタイミングを見計らって私に少しでも負担がかからないようにあの夜私の手の中に生まれてきたんだと今では本気で思っています。

 

いつ始まってもおかしくない流産の出血。

 

少量だったり一気にでてしまったり様々。私は生理の始まりのような少量の出血で下着が汚れたくらいで後はトイレの中。服を汚すこともありませんでした。

 

時間だって選ばず、人によっては朝だったり勤務中だったり。だけど私は起こった時間が夜だったので、勤務中で誰かに迷惑や心配をかける事もありませんでした。病院についてからの2回目の多量出血も運よくトイレの中。看護師さんたちに汚れ仕事をしてもらわなくて済みました。

 

就寝していたパートナーを起こして病院に連れて行ってもらう必要はありましたが、1人で色々な心配を抱えながらタクシーに乗らなくて済んだし、車の中でも何も起こらず淡々と病院に向かうだけでした。

 

他の人の記事や、産婦人科のウェブサイトによると流産の時、陣痛のような痛みを感じる人も少なくないようですが(出産を経験したことがないのでわかりませんが)私はそのような痛みもほとんどなく、生理痛よりも軽い痛みだけで済みました。

経過3日目に、1日中腹痛があり出血も生理の多い日より少し多めの量がありましたが我慢できない痛みでは全くなく過ごせています。

 

帰宅後に助産師さんと電話で話した際に、赤ちゃんを連れて家に帰ってくることができたこと、だけど赤ちゃんの形がわからないことを伝えるとたくさんの経験があるだろう助産師さんでさえ、そんなにきれいな状態で赤ちゃんを手にできる人は珍しいと教えてもらいました。そして赤ちゃんの形がわからないことについては11週の終わりであれば本来赤ちゃんはもう人間の形をしているそうで、それがわからないということはあり得ないというのです。

 

病院で私から出てきた赤ちゃんであろう排出物を看護師とドクターに見てもらったのですが、赤ちゃんと胎盤全部でてきてると言われたのですからきっとそれは赤ちゃんなはずなのですが、、、だから助産師さんは「もしかしたら赤ちゃん自体はもう2,3週間前に亡くなってたのかもしれないですね」と教えてくれました。

 

日本と違って、ニュージーランドでは妊娠初期でも通院回数はとても少なく、私は7週目に1度スキャンをし心拍を確認してもらっただけでした。なのでその後は赤ちゃんが育っていたのかわからないのです。

 

だからもしかするとその後すぐに亡くなっていたのかもしれません。

 

もしこれが日本だったら、自然流産するまでの間に受診日があって赤ちゃんの死亡がきっと先に確認されていたのでしょう。そうすれば私の不安やショックはもっと大きかったはずです。

手術をするのか、自然に排出されるのを待つのかの選択も迫られるようです。ニュージーランドであっても腹痛や異変があれば早くに受診していたかもしれません。

 

痛みで私に異変を知らせることも、不安にさせることもなくこの日を選んできた我が子。

 

普段仕事が忙しく全然有給休暇も取れない私のパートナーなんですが、前々から流産してしまった日の翌日から新居への引っ越しのために2日間有給休暇の申請をしていました。

 

彼が休みで一緒に居られるタイミングを知っていたの?そう思わずにはいられません。

 

おかげで流産してからの5日間の間で私が1人きりになったのはたったの3時間。

 

流産してからすぐの数日間1人きりにならなくて済んだのは精神的にとても大きかったと思います。時々ぶわっと襲ってくる悲しみも1人で対処しなくて済みました。いつでも抱きしめてくれる距離に彼がいて、外出中に涙が出てもなんの問題もなかったのです。

 

引っ越しのおかげで忙しくしているのも良かった。止まっている時間がとても少ない。

 

むしろこの家が決まったのもこの子が導いてくれたのか?とまで思う。家が決まったのが4週間前なんだけれど、助産師さんが言うように3週間前くらいにもう亡くなっていたとしたらちょうどその頃で。

 

病院でカタチも分からないまま産み落とした我が子を最初は検査に出すと言われていたんだけど、医師の所見で完全流産だろうから検査には出さなくていい事になり、持って帰りたいかと聞かれました。

 

 

持って帰るか持って帰らないかの二択なんだけど、彼に見せたいから持って帰りたい、だけど持って帰ってどう保管するんだ?と頭をグルグル。1人では決められないからとりあえず持って帰って彼と決めようと持って帰ることに。

 

後から調べたら、検査に出したら戻ってこないんだって。綺麗に一気に出てきてくれたからおうちに連れて帰ることができました。

 

病院で小さな箱に入れてくれて、とっても小さな小さなオムツももらったんよ。夜勤の看護師さんみんな優しかったし、病院の対応が優しすぎて感謝しかない。

 

コロナのせいで患者自身しか病院に入れなかったので、1人で退院。一度帰宅し、また迎えに来てくれた彼に病院での6時間のことを全部話して。

 

お義母さんの家に昔買ってた犬を埋めたからそこに一緒に埋めてあげるか、、なんて考えていたのですが、助産師さんと電話した時に一応どういう対応があるのか聞いてみたのです。

 

「言い方は悪いけれど、初期の流産は死産ではないのでどうしないといけないというのがなくて、もし手放すのであれば普通にごみ箱に捨てるしかない、だけど私は赤ちゃんなのでそれはできないと思っていて、、、大きな鉢を買って好きな木や花と一緒に埋めてあげるのはどうでしょう」と提案してくれました。

 

連れて帰ってきて良かった!!素敵な案!こうしよう!と思ってさっそくパートナーに言ってみると、義母家に埋めるよりも自分たちと一緒に居れるからいいねと言ってくれて早速一緒に植える木を見に行きました。

 

前の家は小さいアパートで本当に狭く、ベランダもないおうちでした。今回決まったおうちは裏庭もついている。だから大きな鉢に入れてあげられる。引っ越しが決まっていなかったら小さい小さい鉢にしか入れてあげる事も出来なかっただろうから大きいおうちで太陽いっぱい浴びる庭で大きくなってほしいです。

 

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全てのタイミングが良い時を待ってスッと出てきてくれたお母さん想い過ぎる我が子、いい子過ぎるでしょ??

 

流産の経験が教えてくれたこと

たった11週、妊娠発覚からたった7週間弱の妊娠生活でしたが、この子は私に多くのことを教えてくれました。

 

妊娠するまでは子どもが欲しいかどうかずっとわからなかった私。妊娠して初めて知った感情がたくさんありました。子どもがいると思うだけでこんなに自分の気持ちが変わることも知りました。胎動もまだ感じる時期ではなかったから、本当にお腹にいるかもわからない我が子の為に生活に気を付けるようになり、常に我が子の為に生活をしていました。

 

実感がなかなか湧かなかったけれど、周りに報告するたびに「私妊娠したのか。それは祝福されるものなのか」とじわじわ幸せを感じていきました。

 

生まれてくる我が子を思う彼との会話は、未来を描く私たちをワクワクさせました。

 

残念ながら流産をしてしまい、それは想像以上にタフなものであり、想像以上の悲しみがありました。

 

こんなに嬉しかったり悲しかったり、たった7週間だったけれど私お母さんしてたのかな。してたんだろうな。

 

子どもを持つということ、彼と生きていくということをたくさんたくさん考えた時間でした。

 

それから、妊娠を報告したばかりの人たちへの流産の報告はそれまたタフなもの。だけどたくさんの人が私に寄り添ってくれています。

 

とくに驚いたのが、同じように流産の経験のある人の多いこと!多くの人が同じような経験を抱えていると知ったのはとても励みになっています。

 

多くの人が経験しているからといって自分の悲しみが減る訳ではないし、できることなら自分の周りの人たちがこんな思いをしなくて済むならその方がいいと思うけれど、残念ながら多くの人が経験してきたその共感力は強いパワーを持っている。

 

私の母は2度の流産の経験があり、その事実は知っていたけれど詳細は知らなかった。今回たくさん聞いた。

 

たまたま同時期に妊娠がわかった友だちも経験があることを知っていたけれど、複数回あること、それを抱えて今回の妊娠に臨んでいること、自分の経験したことたくさん話してくれた。

 

職場のチームのメンバーにも早々に妊娠を報告していたけれど、3人中2人は実は同じ経験があるから気持ちわかるよと教えてくれた。

 

流産の経験は普段わざわざいう事ではないのだろう。だから誰がそんな経験をしているのかなんてよほど深い話をする間柄じゃないと見えないもの。

 

ただ私が今回経験したことでたくさんの人が共感をくれ、支えてくれている。みんな知っている、時間が必要なこと。

 

誰も私を責めないし、急かしもしない。それぞれが乗り越えていかなきゃいけないんだけど、必要だったら手を貸してくれる距離で待ってくれている感じが心強い。

 

パートナーに至っては私を甘やかせまくり。

 

もうみんなありがとう、それだけ。

 

 

生きて生まれてこれなかった私の赤ちゃんも私を責めることなく傷つけも傷みつけもせず沢山のことを教えてくれてエンジェルベイビーになった。だけどせっかく私の元に来てくれたのだから近くに置いて一緒に生きていくことにする。

 

 

間違いなくあなたは私と彼の初めての赤ちゃん。賢い頭のいい赤ちゃんでした。私はこの先、今の細かい感情は忘れてしまうかもしれない。私はあまり記憶力のいい母親ではないから。でもそれを知っていたからこそ私たちの前にわざわざ形として残ってくれたんだと思っています。

 

あなたがこれから大きくなるうちの庭は、たくさんの鳥が毎日来て歌を歌ってるし、とっても人懐っこい猫も遊びに来るよ。今朝はハリネズミが散歩していました。きっと寂しくない場所です。ニュージーランドはこれから夏本番。BBQも庭でたくさんやりましょう。

 

 

 

 

私たちのところに来てくれて本当にありがとう。

 

具体的な流産の経過はこちらにまとめました。同じような経験をされた方に少しでも寄り添えれば幸いです。

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